福井県初の水力発電所「宿布発電所」跡地が展示場が整備されました 2019.10

2019年9月28日、福井市宿布町にあった福井県初の水力発電所「宿布発電所」跡地が整備され、公園と展示場が完成しました。ここでは宿布発電所の現地訪問レポートをします。

宿布発電所とは

福井県初の水力発電所

宿布発電所は京都電燈(北陸電力の前身)が1897年に福井県初の発電所として着工され、1899年(明治32年)に竣工、同年5月より福井市内800戸に初めて電気を送電しました。発電所の建設自体は北陸初でしたが、電気の供給は富山の発電所が宿布発電所よりも早く完成したため、富山の方が1か月早かったそうです。老朽化のために1956年に廃止され、水車や発電機は北陸高校電気科で教材に使われたり、北陸電力福井総合制御所(坂井市丸岡町)の施設に展示されたりしていましたが、今回の展示場建設により、63年ぶりに故郷に戻ってきました。発電所廃止後、跡地は地権者が家を建てるなどして、水路や貯水池は埋められました。

熊谷組が跡地に公園と展示場を整備

発電所の水路工事を請け負ったのは熊谷組の創業者で石工だった熊谷三太郎です。熊谷三太郎は北陸本線の建設で実績をあげており、発電所の工事で足羽川の水を導く水路や貯水池の石積み工事を担当しました。この工事が熊谷組最初の請負工事です。

熊谷組が創業120年を記念事業として、同社が初めて請け負った工事である宿布発電所の跡地に公園と展示場を整備し、福井市に土地と建物を寄贈しました。地権者5人から土地1623m2を購入し、2019年4月に着工、土に埋もれていた貯水池や導水管を掘り起こし、発電機を展示する木造の展示場を建設し、各遺構に案内板や駐車場、芝生広場を整備しました。

発電所跡地の場所

国道158号の旧道沿いにあります。

公園と展示中の姿

 

駐車場

福井市街から大野方面に国道158号を走っていくと最初のトンネルである宿布トンネルの手前の信号を右に曲がり、旧道を進むとすぐ左手に「宿布発電所跡」と書かれた看板が見えてきます。

 

公園には10台は止められる駐車場があります。

 

公園の案内図

展示館

展示場

 

展示場の名盤と解説文

 

展示場はかつての発電所跡地に建っており、建物裏手には石積擁壁が残っています。

 

発電所の仕組み図

 

発電機、北陸電力福井総合制御所(坂井市丸岡町)で展示されていた実物です。

 

励磁機、発電機とベルトで結ばれて回転することで、発電機の電圧を調整するために必要な小さな電気を起こす装置です。

 

発電所関連施設の配置図です。古写真参考になります。

 

発電所のあゆみです。

貯水池跡

展示場より一段高いところに貯水池跡があります。

 

貯水池跡、送水管跡付近は掘り下げられています。

 

貯水池と反対側にある水路跡は埋まったままです。山側の擁壁は当時のままでしょう。

 

紀功碑、発電所建設に携わった人の功績が書かれています。

 

導水管の横には余水吐の水門がありました。

 

貯水池の前も車で入っていけます。

 

取水口付近

せっかくなので展示場に書いてあった取水口付近に来てみました。古写真によると越美北線の鉄橋の上流にあったみたいです。

展示場に掲示してあった古写真を頼りに現地に来ました。発電所廃止後に取水口の堰は解体されたのでしょう。足羽川には謎の鉄板に覆われたコンクリートの塊がありました。また、左岸道路に沿って水路跡と思われる痕跡が続いていました。

 

以上、宿布発電所跡地公園のレポートでした。

開発ミニレポ