福井市街から北東の山々を見ると永平寺町付近の中腹に謎の人工物が見えます。
該当場所をグーグルマップで見てみると「千石平場外離着陸場」という文字と共に滑走路や格納庫のような複数の建物が写っています。
というわけで、この謎の飛行場について調査してみました。
千石平場外離着陸場について
概要
福井県内で現役の空港はみなさんご存じのとおり坂井市春江町にある「福井空港」のみです。戦前までさかのぼるとボートレース三国の北側にあった「陸軍三国飛行場」（1943年着工1945年閉鎖、1800mの滑走路2本）、越前市北西部にあった「海軍愛宕航空基地(鯖江/本保飛行場)」（未完成、700mの滑走路1本）、鯖江市丸山町にあった「鯖江不時着場」（550mと450mの滑走路2本）がありましたが、終戦とともに閉鎖されました。福井県内4か所目の飛行場が今回紹介する「千石平場外離着陸場」です。場外離着陸場とは日本における飛行場の種別のひとつで、設置・運用基準を一般の空港や飛行場より緩和したものです。グライダーの滑空場、病院や発電所のヘリパッド（ヘリコプターが着陸できるように整備された）、学校のグラウンドや駐車場などがあり、一部には一般の空港と同様に本格的に整備された施設も含まれています。要するに簡易飛行場です。
この飛行場は永平寺町の標高531ｍの山頂から南西方向に開けた斜面中腹の標高240mに設置されています。滑走路は長さ130m、幅15m、ほぼ南北を向いており、アスファルトで舗装されています。民間団体が管理していましたが、乱気流がよく発生し、離着陸が困難なことから現在（2010年頃から？）は使用されていません。いつ頃作られたのか、ネット上に情報がなかったので過去の航空写真で調べたところ、1994年には建設中だったため、完成は1996年頃と推測します。となると、実際に使用されたのは15年程度となります。
所在地
飛行場平面図
国の資料より引用
2002年に小型機（ウルトラライトプレーン）が着陸に失敗する航空事故が発生しています。建物の配置が現在とは少し違います。2002年以降、旧格納庫は解体され、格納庫の北側の斜面を削って、格納庫を増設したと思われます。
実際に行ってみた
2020年3月下旬頃、現地はどうなっているか行ってみました。ちなみに私は2016年頃にも一度行っていますねで今回で二度目の訪問になります。
地図
鳴鹿三差路へ向かう
福井市街から勝山街道を永平寺方面に進むと、正面の山の中腹に見える人工物が目的地の千石平場外離着陸場です。
東古市交差点で国道364号に左折し、九頭竜川を渡るとまもなく飛行場に続く林道の入口につきます。入口は鳴鹿三差路交差点北側にあります。
林道
国道を右折し、林道に入ります。①付近です。
林道は写真の通りです。カーブや急坂は舗装されており、普通車でも走りやすいです。
林道はほぼ1本道です。飛行場に行く前に、車で行けるところまで登りましたら②付近で草木が生い茂り、進めなくりました。航空写真を見てもこの付近が林道の終点です。
林道終点からの風景
標高300m付近にある林道終点付近は開けており、九頭竜川と松岡の街並み、遠くには福井市街を見渡せます。
福井都心も見えます。
飛行場へ
寄り道が済んだところで飛行場へ向かいます。
わかりにくいですがここが飛行場へのアクセル道入口で、地図に③と書いたところです。
アクセス道の幅員は2.5mほど、車通行可です。100mほど進むと飛行場につきます。航空写真を見ると飛行場南西部の斜面につづら折りの道が写っており、その道が本来のアクセス道だったそうですが、現在使われおらず荒れています。林道上から分岐点も見つけらませんでした。
飛行場全景
飛行場全景です。2019年度の冬は雪が少なかったため、ススキの森が広がっています。
格納庫
プレハブの格納庫が2棟建っています。現在もいちよ、格納庫の前まで車で近づくことができました。
南側には事務所棟があります。
格納庫と滑走路は誘導路でつながっています。
格納庫の裏にある重機、長いこと使っていないのか、朽ちています。
滑走路
滑走路はアスファルト舗装されており、白線も残っています。
滑走路南端
飛行場からみた風景
見晴らしは林道終点よりも飛行場からの方が良いです。整備すればよい展望スポット、夜景スポットになりそうです。
永平寺方面
中部縦貫道と足元の九頭竜川がよく見えます。
東側方面
福井市街方面
福井都心と足羽山
松岡町
テクノポート福井方面
滑走路北端は写真のとおり、ススキの森だったので高台から眺めるだけにしました。日当たりが良いところや舗装されていないところは草木の茂みがすごいです。
以上、千石平場外離着陸場の概要と現地レポートでした。福井県内の謎スポットを今後も取材したいと思います。
