福井市種池2丁目にある福井市治水記念館は2021年3月末の廃止が決定しています。そこで現在の治水記念館の現状について取材してきました。
福井市治水記念館とは
概要
福井市治水記念館とは福井市南部社南地区にある「治水」をテーマにした博物館です。福井市で過去に発生した水害や水害から街を守るための仕組みついて展示や解説をしています。記念館を訪れた人たちが自然と文明の調和の大切さを感じるとともに、それを支えている治水行政の重要性を認識してもらう場として、治水・利水の歴史と重要性をPRしています。入館無料なので気軽に立ち寄ることができます。
博物館の目玉は旧江端排水機場内に設置されていた排水ポンプで、1937年に江端排水機場建設に伴い設置されたポンプは当時東洋一の能力を誇っていました。また、館内では定期的に科学実験教室や災害映像の放映が行われています。
今後
博物館廃止後、中の展示物や設備は防災センターに集約されます。ただ、目玉である排水ポンプについては運び出すには建物の一部を解体する必要があり、市の試算では500万円の費用がかかるため、今後の保存について対応を苦慮しています。
建物は1992年完成と比較的新しい為、博物館廃止後も建物の解体は行わず、他用途(公民館や児童クラブなど)に転用される計画です。
基本情報
営業時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始 |
住所 | 福井県福井市種池2丁目305 |
入館料 | 無料 |
駐車場 | 8台 |
公式サイト | http://www2.fctv.ne.jp/~chisui/index.html |
場所
社南小学校の西側にあります。
館内の様子
2020年8月下旬頃の現在の様子です。
外観
社南小学校の前には治水記念館の案内板があります。
駐車場は博物館北側にあります。
博物館外観です。
建物から地下に向かってパイプが伸びています。案内板にはゾウさんの鼻?って書かれていました。
入り口です。
1階
1階のフロアマップです。1階には排水ポンプ、スクリュー、福井市の洪水の歴史などが展示されています。
受付跡地、どんぐりの雑貨がたくさん置かれていました。
館内案内図、館内の説明は1名より行っているそうです。良心的ですね。
中に入って正面には福井都心の航空写真のパネルがありました。
おそらく博物館ができた1992年当時の航空写真でしょう。
排水ポンプ
治水記念館目玉の排水ポンプです。
社南地区を中心に江端川流域は洪水が多い地域で、大雨が降ると日野川から江端川に逆流がたびたび発生していました。かつては湿田が広がっており、舞屋や種池など水に関係する地名も多く、一度水がつくとなかなか引かないため、盛土された家や小船がある家などがありました。
日野川から江端川へ逆流を防ぐための水門は1921年に完成しましたが、洪水被害を収まらないため、6年をかけ1937年に江端川排水機場が完成しました。同型のポンプが4基設置され、全体で毎秒ドラム缶111本分を排水する能力がありました。老朽化により1990年に引退し、新ポンプに役目を譲った後、1992年にこの博物館に展示保存されました。
排水ポンプが設置されていた旧江端排水機場の紹介
この排水ポンプができた1934年時はアジアで1番強い排水機だったそうです。
ポンプは地下にはみ出していました。
名盤、新潟鐵工所製です。
階段の踊り場より、でかいですね。
排水ポンプの説明、社南地区は洪水が多い地域で、それを救ったのがこのポンプという説明です。
江端川の今昔
江端川第二は排水機場の模型
スクリュー
排水ポンプの中に入っていたスクリューです。
福井市の洪水の歴史
過去に福井市で発生した洪水の写真展です。
もちろん福井豪雨もあります。
福井市の水防計画についての展示もありました。
幼き頃の私の人生を変えた有害ビデオだ。
それでは2階にあがります。
2階
2階のフロアマップです。2階は揚水の歴史、ポンプ体験、特別展、映像ホールなどがあります。
各種ポンプの体験場です。
特別展は2020年秋より本体工事が始まる足羽川ダムでした。
足羽川ダムの基礎岩盤です。
福井県の川
ボタンを押すと地図が光ります。
2階から見た吹き抜け、壁には九頭竜川や日野川の最高水位が示されていました。
揚水の歴史
博物館内のパネルの支柱はパイプです。
2階の通路、右側が映像ホール、左側はトイレ、奥は倉庫です。
映像ホール
映像ホールは研修室って感じの部屋です。
治水記念館の展示物は手作り感あふれています。
地元の人たちの集会場としても使われているそうです。
最後に帰ろうとしたらスタッフに封筒をもらいました。帰宅して中身を確認したらいっぱい入っていました。
パンフレット
治水記念館のパンフレットです。シンプルなレイアウトですね。表側。
裏側。
以上、治水記念館の現状でした。せっかくの立派な施設なのでこのまま廃止されるのはもったいないです。