福井市の芦原街道と松本通りが交わる乾徳交差点の南東角には地下続く階段があります。これは交差点地下にある「福井市下水道記念室」の入り口です。昔から存在を知っていたのですが、事前予約制で平日しか見学できないため、見学の敷居が高くなかなか内部に入ることができませんでした。今回ついに決心、市役所に連絡して中を見学してきました。
下水道記念室とは
概要
福井市下水道記念室とは乾徳交差点の地下にある現役の下水道管が見れる施設です。福井震災後の復興事業で市内各所に下水道管が敷設されていく様子をみた当時の熊谷市長が「下水管は地面深くに設置されるため、工事が終わると人の目に触れることがない」と提言し、下水道に対する理解と普及促進のために1952年に整備されました。2019年にはリニューアルされ、入り口や内部の展示も一新されました。
見学方法:事前予約制、平日のみです。普段は鍵がかかっており、現地に直接行っても入れません。事前に福井市企業局下水施設課に連絡、見学希望日を伝えるとその日に鍵を持った市役所職員がきてくれます。
場所
芦原街道と松本通りが交わる乾徳交差点の南東角に入り口があります。
現地の様子
2020年12月頃の様子です。駐車場はないため、西公園の市営駐車場に止めました。
地上部
記念室入り口です。昔から地下鉄の入口みたいって思っていました。福井市営地下鉄乾徳駅(ry
外観は2019年にニューアルされ、きれいになりました。マンホールの絵柄や記念室の案内が描かれています。
記念室の案内文
銘板は1952年当時のままです。
交差点側からみた外観
乾徳交差点西向き
乾徳交差点北向き
階段
市役所の人が到着し、鍵を開けてもらいました。秘密の世界に入っていきます。
階段は昔ながらの地下道階段って感じです。
階段を下りた先には古い記念室の案内文がありました。
「この記念室は本市最大事業の一つである改良下水道の記念のためと併せて市民の下水道に対する認識を高め特に青少年の社会教育の資料に供するために時の市長熊谷太三郎氏の発案により建設されたものです。昭和28年5月 着工 昭和28年11月 竣工」
内部
階段突き当りを右に曲がると地下の記念室につきました。
でっかい下水管(ヒューム管)とガス管、水道管が目に入ります。この場所で2つの下水幹線が交わっています。
ヒューム管 内径1370m/m 春山幹線、交差点を南北に縦断する下水幹線です。
ヒューム管 内径1500m/m 清川幹線、交差点を東西に横断する下水幹線です。
2つの下水道管が交わるところにはマンホールが置かれており、外側をみることができます。
ヒューム管の反対側にいくための階段があります。
階段横にはヒューム管の構造がわかる見本が置かれていました。
階段手摺についている1950年の下水道管施工時の写真
階段を上ると清川幹線の反対側(西側)を見ることができます。合流後のヒューム管は内径1800m/mと大きくなります。
下水道交差部の真上を通るガス管(奥)と水道管(手前)
階段を反対側から撮影
階段上より
展示物
地上からの階段下の壁には福井市の下水道の案内板があります。
右端から紹介していきます。最初は福井平野の水害の話です。
地上への階段を挟んで、福井市の公共下水道施設概要図です。この図は福井市のサイトでも見れます。
概要図での現在地は赤丸の場所です。
概要図の左上には1947年時の下水道計画図があります。市内各所のポンプ場もこの時代に作られたことがわかります。
概要図の左下には下水道事業の歴史年表(戦後)
左端には下水道についての紹介文があります。昭和61年頃の案内文なので文体が古いです。
内部はそこまで広くないため、10分ほど滞在して地上に戻りました。最後に入り口から内部を撮影。
地上がまぶしいです。
以上、福井市下水道記念室を見学の様子でした。たまに雑誌や新聞で紹介されますが一般利用者は年間数人だそうです。見学するまでの敷居が高いのが理由でしょう。ただ、インフラ好きなら一度ぐらいは見学してみる価値があると思います。