旧福井駅舎は2005年4月18日の北陸本線高架化による新駅舎開業に伴い、解体されました。その後、東西駅前広場や周辺の再開発に併せ、この15年で福井駅東西の街並みはがらっと変わりました。2023年の北陸新幹線開業に向けて、現在も再開発計画が目白押しで、毎月のように古い建物が解体され、跡地にはタワークレーンが連立しています。
戦後から半世紀にわたり福井の顔だった3階建て旧福井駅舎はすでに過去の存在となっていると思いきや、別件で「福井駅連続立体交差事業 事業誌」を読んでいたら驚くべき記述を見つけました。それは「旧福井駅舎のタイル(15cm×30cm)は福井駅前交番所の壁に再利用されている」です。なんということでしょう。旧福井駅舎の備品や看板などは福井県立歴史博物館に保管されていることは知っていましたが、まさかタイルが残されているとは思いもしませんでした。
というわけでさっそく取材してきました。
福井県立歴史博物館は福井県内の鉄道資料を最も多く所蔵している博物館で、定期的に鉄道展を開いています。ここ数年はやっていないな。
福井駅前交番
2020年9月上旬、駅前交番にきました。現在の交番の建物は西口駅前広場の整備に併せ建設されました。3階建ての外観は白色にまとめられ、不規則に明り取りの丸窓が配置されています。建物前にはシンボルツリーとしてエゴノキが植えられています。公共建築物ですがモダンなデザインとなっており、駅前のランドマークとなっています。
旧駅舎のタイルは受付カウンター上部の吹き抜け2階の壁に設置されていました。タイルはガラスブロックであるため、2階のプライベートゾーンの明り取りとして利用されています。
こんなところに旧駅舎の面影が残されていたのですね。この事実は福井の鉄道マニアの間でも知られていないと思います。町の記憶が後世に伝わるよう、ちゃんと残してくれたら関係者には敬意を払いたいです。
このタイルが旧駅舎のどこで使われていたのかまではわからないです。私のあてにならない記憶によると1階北側トイレ付近のような気がしますが自信はないです。誰か知っていたらコメント等で教えてください。
以上、保存された旧福井駅舎のタイルでした。
2020年12月20日追記
保存されているタイルについて福井県立歴史博物館に問い合わせところ、資料がみつからないため、わからないと返答をいただきました。また、福井県警察本部に問い合わせたところ、旧駅舎1階入口付近で使用されていたと返答をいただきました。自分の記憶とおりの場所です。
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